EC-02試乗体験

今日はお台場で、以前から目をつけていたYAMAHA電動バイクEC-02[ http://www.yamaha-motor.jp/pentagon/ ]の試乗会があるというのでノコノコ行ってみた。
ひょっとしてえらく待たされたりしたら、アクアシティやらメディアージュやら、全然興味のないデートスポットでひとりで何したらいいのかとちょっと悩んだが、エントリーしてみたら待ち時間ゼロですぐ搭乗。人気ないのか?
5分ほど操縦についてレクチャー(と行っても特殊な操作は何もない)された後は早速、どっか駐車場とかで走るのかのうと思っていたのだが、メディアージュの裏手の車通りの少ない公道を使うようだ。
公道走るのに免許確認しなくていいのかなあ(笑)まあ持ってるけど。
まあともかくスタートだ。貸し出されたメットとグラブを装着し、キーをひねる。約1秒でコンパネが操作可能になり、ボタンを押してアクセルを有効にする。着座した感覚はまったく普通の原付と同じで、確かにサイズは幾分小さめなのだが、モンキーやゴリラほど極端に小さいわけでもないし、ハンドルとシートが効果的にレイアウトされているおかげなのか違和感はない。
発進準備が完了したところで、同じくYAMAHA電動バイクであるPassolに乗った添乗員の後を走る形で、メディアージュ裏から台場駅方面へ向かって出発。
走り出しはなかなか軽快。アクセルをひねるとスッと前へ出る感じ。加速も普通の原付と何ら感覚的に変わらない。モーター駆動だとトルクが細くて最初重いのかなあと思っていたのだが、むしろ若干スムーズに感じる。
YAMAHAご自慢の電動システムの仕組みがどうだか詳細は知らないが、ガソリンエンジンがエンジンの回転をそのまま車輪に伝えるのでないのと同様に、モーターの勢いが直接車輪を回してる気配はない。それでも始動直後からモーターは相当に頑張って回ってる気がするから、ギアの制御が優秀なのだろう。
最初はリミッターのかかった標準モードで走行していたのだが、先行する添乗員についていけないので、最初の信号待ちでパワーモードに切り替える。
パワーモードは建前としては坂道等に対応するためにリミッターを外す目的で存在するらしいのだが、ぶっちゃけ、実用に使うなら常時パワーモードがデフォルトになると思う。そもそもコンパネが走行中に操作できるような位置についてないし(ハンドルが折り畳めるようにするために手前に持ってこざるを得ないというレイアウト上の都合があるんだろうけど)。
公道走るのに30km/h以上出してもいいのかなあ(笑)という野暮な突っ込みはさておいて、パワーモードではとてもすんなり40km/hまで加速する。添乗員の後ろを走るという試乗の形態上、フルパワーを試すことはできなかったが、まだ少々アクセルに余裕があったことから見ても、俺の75kgの体重を乗っけても最大で45km/hいくかいかないかというところまでは出そうだ。深夜のガラガラの国道をぶっ飛ばすというわけには行かないが、朝の通勤渋滞をすり抜けつつ走るには充分なパワーだ。
と、パワーを体感したところで、せっかくの試乗の機会、全身をセンサーにして可能な限り挙動をいろいろ探る。
走行音はモーター駆動なので相当静か。が、あくまでガソリンエンジンと比較した場合という話であって、思っていたよりは音が出る。かなり金属的な音で、電気ノコギリを想像するとだいたい合ってると思う(もちろんノコギリほどはうるさくない)。
あくまでアクセルを入れた状態でだけモーターが回るので、アクセルをオフにするとまったくの無音になるという意味ではトータルではかなり静かだと言える。
そしてアクセルをオフにした状態では、当たり前だがエンジンブレーキがまったくかからないため、惰性でかなり勢いよく突っ走る。下り坂とかである程度スピードの乗った状態であれば、おそらくまったく無音で走行できると思う。ちょっとあぶない(笑)。
モーター制御についてはどうもブレーキもモーターに連動しているらしく、ブレーキを踏んだ状態ではアクセルを回してもまったくモーターが動かない。最初レクチャーされているときに、車体を固定した状態でちょっとだけアクセルを回してみてくれと言われ、原付を空ぶかしする感覚でブレーキ握ったままアクセル回したらウンともスンと言わなくてちょっとあせった。まあ実際の走行でそういう操作をするケースはたぶんないと思うけど。
走行中の安定性については、前輪が小さいせいか低速でちょっとフラつくかなあという気はしたけど、1回乗れば慣れるレベル。だいたい足を揃えて乗るスクーターしかバイク経験のない俺がほとんど違和感なく乗れたので、充分及第だと思う。
などと感じつつ、台場駅そばの駐車場付近で折り返し、約2km足らずの試乗行程終了ー。
ついでにスタッフにいろいろ聞けたらいいなと思ったのだが、どうも試乗スタッフは全員バイトでYAMAHAの営業はいないらしく、メディアージュ内のYAMAHAの常設ギャラリーに寄って話を聞いてみることにする。
展示車のイスを開けてもらって中身(普通のバイクの形態であればガソリンタンクになってる部分)を拝見。
基本的にこの部分は予備バッテリーまたは充電器を入れることを想定しているようで、スペース的には1.5リットルのペットボトルが1本+アルファが入る程度。サイド部分には仕切りがあって小物を収納できるようになっているが、この仕切りはバッテリーや充電器を出し入れする際のレールとしての目的が主と思われ、それらを入れないのであれば実質上はほぼ無意味だ。
そして容量的な問題よりも出し入れ口がえらく狭いのが難点。試しにB5サイズ程度のカメラ用のハンドバッグを突っ込んでみようとしたが入らなかった。
オプションで前カゴもあるのだが、こいつをつけるとダサさ全開爆発[ http://www.ysgear.co.jp/mc/special/ec02/main.html ]状態になってしまうし、後ろに荷台もないので市販のリアボックスをつけることもできない。スクーターのようにイザという時に足下に物を置くという芸当ももちろんできない。日常の足として使うには、通勤用のカバンは背負うか肩にかけるとしても、買い物帰りなど苦労しそうな気もする。前カゴのかわりにちょっとした荷台をつけて、ハンドルに縛れるようにするといいかも知れない。
さらに軽く持ち上げてみようとしたが、展示車なのでバッテリー(約5kg)が入っていないにも関わらず、容易には持ち上がる重さではない。まあ車載しようとか考えているわけではないが、どこでも持ち運べる、などという宣伝文句ははっきり言って誇張だ。そのへんを期待している人は考え直したほうがいいだろう。
もっとも軽すぎるとすぐ盗まれそうで恐いので、ある意味トントンか。
最後に、導入に当たって一番の障壁になりそうなのが修理体制なので、そのへんを突っ込んできたかったのだが、さすがにバイト君よりは詳しそうだったものの、営業マンでもなければもちろん整備スタッフでもないねーちゃんだったので、あまり詳しい話は聞けなかった。
実は今まで、いつもお世話になってるバイク屋に、EC-02のパンフレット取り寄せてもらったり遠回しに打診をしてみているのだが、店主のおっちゃんが大変渋い顔をしているのだ。
まあそりゃ、整備を持ち込まれるほうとしちゃ、長年培ったキャリアがまったく生かせないような機械は避けたいよねえ(笑)
さすがに販売店の整備所でモーター部が修理できるなどとはまったく期待もしていないが、もしものときにバイク丸ごとYAMAHAの工場に送り返してるようでは些か信頼性に欠ける。せめてモーター部だけ取り外して輸送できるようなシステムになってるといいなあ、とか思っていたのだが。


というわけでえらく長くなった本日EC-02体験記、走行性能は上々(ただし航続距離は街乗り前提、スペック上はフル充電で25〜30km)、輸送力は工夫の必要あり、可搬性はゼロ、保守性に不安が残る、といったところで締め。