失踪日記

いきつけの本屋を何件回っても見つからなくて、もうamazonで注文してしまうか、などと考えていたら取引先近所のビジネス街の本屋の入り口に山積みにしてあった。謎。とりあえず購入。
吾妻ひでお全盛期とは微妙に世代がズレているせいもあって、どうもやたらに荒れた絵の印象しかなかったのだが、意外としっかり描いてある。
というわけで内容は一世を風靡(?)した漫画家が突如蒸発してホームレスしたり肉体労働したりアル中で幻覚が出だして精神病院に強制入院させられたりと、流行り廃りの荒波にもまれたその水面下の生活を訥々と、かつどこかユーモアを漂わせつつ描く本人の回顧録
突然社会からドロップアウトして漂流したいと思うのは漫画家に限らず大方の社会人に共通の妄想かとは思うが、いやしかしやっぱり漂流生活は過酷ですね。僕なら1週間で野垂れ死にですねきっと。
そういえば一時代を築いた頃のチャンピオンの作家って突然消えちゃったひと、多いですね。鴨川つばめとか。
恐い業界だなあ。
ともあれ、リアルに描いたらひたすら悲惨でしかない状況を、達観したかのような視点でおもしろくまんがにしてしまうというのはやはり偉大な才能の成せる業か。
本編は入院生活の途中で終わってしまっているので、いつか続編が出たらいいなと思うものの、そのためにまた何年も漂流生活しろと言うようで酷だよなあとか思ったりも。


そういえば作中で中島らも氏にちょっとだけ触れているけれども、アル中つながりで氏の著作『今夜、すべてのバーで』をちょっとだけ連想した。
吾妻氏には長生きして頂きたいもんです。