悪貨は良貨を駆逐する

休日出勤ついでに世界堂で画材を仕入れる。仕事は少々遅くなったものの、新宿本店は夜9時まで営業。ありがたや。
トーンは普段ほとんど使わないのだが、ある程度まとまったまんがを描くとなると手持ちの在庫ではちと厳しい状況なので、ここらでまとめて確保しておきたい。
ひとくちにトーンと言ってもいろいろあるが、俺のお気に入りはマクソンスクリーン。厚手で糊が強いためセロテープみたいだとよく陰口を叩かれるが、逆に言えば皺になりにくく激しく削り込んでも破れない。丁寧な作業が苦手な俺にはもってこいだ。
しかしこのトーン、何年も前からかなり手に入りにくくなっている。デリータートーンなど安物の台頭や老舗レトラセットの大幅値下げなどの攻勢に負け、すでに製造元では生産が打ち切られたという話も聞いた気がするし、画材ショーにも出展されていない。近場の画材屋ではとても入手が見込めないため新宿の本店まで出向く機会をうかがっていたのだ。
店内はなんだか幾分様変わりしており、コミックコーナーが派手に面積を占有している。デザイン関連売り場のど真ん中にトーンコーナーが鎮座ましましているくらいだ。
同人市場ってそんなに急成長してるのかね。
ともあれ、目当てのトーンをトーンコーナーの一角で無事発見。俺が常用するトーンはマクソンの型番で言うところの202、50lpiの網点で20%濃度のものだ。しかしさすがに大々たるトーンコーナーの片隅に押し込められているだけのことはあり、3枚しか置いてなかった。
202の手持ちはあと2枚あるとは言え、少々心もとない。いずれにしろ近いうち流通在庫の絶滅もありうる。今後の代替候補として、同じマクソンの廉価版ブランド、マクソンコミックパターンから同じスペックのトーンを1枚試しに買ってみた。
とは言え正直な話安物トーンにはまったく期待していない。デリーターは削るだけでびりびり剥がれてくるうんこトーンだし、デザイントーンも経年劣化が激しく貼ったのち数年経つとそこらじゅう気泡だらけになってしまう。あとなんか知らないトーンも出てたな。Jトーン?名前聞いただけで質が知れるというものだ。
なぜかトーン売り場にはいつも女性同人作家らしきひとびとがたむろしているのだが、たいがいは安物トーンを物色している。客観的にみて彼女らのほうがトーン使用頻度は高いと思うのだが、品質が気にならないのだろうかといつも思う。100円ショップで目を血走らせるオバハンじゃあるまいし、安かろう悪かろう、という古き格言(?)を思い出したほうがよいのではなかろうか。
あ、削らねえからどんなんでもいいのか?そうか。
俺製作環境としては、A5本用原稿はすでにペン入れ以降の作業に関しては完全にデジタル化、トーンレスを実現している。スキャナの読み取り範囲の問題でB5本用原稿はなかなかデジタル化に踏み切れずにいたが、いいかげんA3スキャナの導入を決断しなくてはいけない時期に来たのかも知れない。
いや資金はあるんですが。置く場所がないのよ。困ったな。